WHITE ALBUM2のかずさTrueがグランドエンディングだと主張したい(その1)

【注意】この記事には株式会社アクアプラスのゲームブランドLeafが発売したアダルトゲーム「WHITE ALBUM2」に関する重要なネタバレが存在します。これからプレイする予定の方は回避推奨。

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Twitterとかで見てると多数派が知っているのでは!?と簡単に錯覚してしまうが、多分世の中的にはごくごく一部であろう界隈で有名なPCゲー(オブラートに包みたい時にこう言う表現を使うが、いわゆるアダルトゲーム。つまりエロゲー。)で「WHITE ALBUM2」という作品がある。

別にエロゲー史に詳しい訳ではないので感覚で述べるが、2000年前後くらいからエロゲーはBGM・CG等の演出やシナリオで感動を起こす事に主眼を置いた「泣きゲー」と呼ばれるジャンルが成立した。他にも「鬱ゲー」「燃えゲー」など色んな分類があったりするが、とにもかくにも2000年代はエロ薄め・シナリオ重視の作品群がたくさん作られた。

・18禁だから(ほぼ)どんな表現でも許される
・ビジュアルノベルは低コストで作れる(た)

などのハードルの低さから、(登場人物の年齢が著しく偏っている事を除けば)それはまぁ色んな作品が生まれた。そんなシナリオ重視の作品群の中で、2010年(序章)・2011年(終章)発売と、そのジャンルとしては割と後発の作品として作られたのが「WHITE ALBUM2」である。

2と呼ぶからには1があるわけだが、これを書いている人は前作「WHITE ALBUM」をプレイしていない完全なるニワカなので詳しくは語ら(れ)ない。吉成作画を見るためにアニメは見た。

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↓本題とはまったく関係ないが、WHITE ALBUMのアニメは吉成鋼というアニメーターが描いているシーンとそうじゃないシーンが別アニメ過ぎる事で有名な作品である。

「White Album 8話 吉成鋼」 / YouTube

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「浮気」をテーマとした作品であり、各ヒロインとエンディングを迎えるためにはゲームの最初から付き合ってる彼女と別れる必要があるというヒドい仕様である。続編である「WHITE ALBUM2」ももちろんその要素を取り入れている。

理由は色んな人が色々と語っているのでその辺は詳しい人にお任せするが、「WHITE ALBUM2」はエロゲーという業界の中でも非常に高い評価を得た作品である。特に存在を終章の販売まで周到に秘匿された最終章「coda」はその導入方法・妥協のない展開で多くの人を唸らせた。

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以下、本題に入るために簡単に作品のストーリーを復習する。

【序章:introductory chapter】
主人公・北原春希は学園時代(※)に初恋かつ両想いの相手・冬馬かずさではなく、その友人・小木曽雪菜と付き合うが、危ういバランスの上に成り立っていた三角関係は最終的に破局する
※ 表現規制の歴史的経緯もあり、この業界では現実の高校に相当する学校を学園と呼ぶ習慣がある

【終章:closing chapter】
序章の破局から3年後、大学に進学した春希と雪菜は互いに気まずい関係を保っていたが、多くの友人達に支えられ二人は辛い過去を克服して関係を修復し、結ばれる。

【最終章:coda】
終章から2年後、雪菜との婚約目前の春希の前に再び冬馬かずさが現われる。二人の間で揺れ動く春希の選ぶ結末は…

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それでやっと本題なのだが、終章の2年後の社会人編を描く最終章「coda」はプレイヤーの選択に応じて以下の3つの結末を迎える。(実際はもう一つあるが、重要性が低いので割愛する)


  1. 春希は雪菜と共に困難を乗り越え、3人は関係を修復することに成功する。春希と雪菜の結婚式が行われ、かつてのライブのように3人で演奏を披露するシーンで物語は幕を閉じる(通称:雪菜True)
  2. かずさを選んでしまった春希は、かずさとの逃避行で3人の思い出の地に赴く。精神的な板挟みに苦しみ壊れていく春希を見かねたかずさは、春希を雪菜に返す事を決意する。戻ってきてくれた春希を雪菜が優しく抱きしめるシーンで幕を閉じる(通称:浮気エンド or かずさノーマル)
  3. 全てを捨て、かずさを選ぶこと決意した春希。大切だった人間関係に別れを告げ、二人は海外へ旅立つ。罪の意識に苛まれながらも、二人は幸せ噛みしめて生きていく。(通称:かずさTrue)


端的に言って雪菜Trueはハッピーエンドである。誰も不幸にならない。春希は親子関係を修復するし、恋愛のすれ違いで冷戦状態だった友人達は新たな一歩を踏み出す。雪菜は春希と結婚し、雪菜とかずさは良好な関係を再構築する。完全無欠である。

他作品をやっていないのであまり詳しくないのだが、「WHITE ALBUM2」のシナリオライターである丸戸史明氏の作風をもっとも前面に押し出したエンディングだと言われている。

みんなハッピーエンドが好きだ。娯楽としてゲームをしてるのに後味が悪いのは嫌だろう。

残念ながら雪菜True以外の2つのエンディングはとても明るい気持ちにはなれない。端的に言ってバッドエンドであり、少なくとも大団円のハッピーエンドでは無い。そこには誰かの諦めの感情が強く出ている。

この作品の最後を飾るシナリオとして雪菜Trueを選びたくなる人の気持ちもわかる。
実際Yahoo!知恵袋には以下の様な回答が寄せられている。


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「A. (前略)物語の核心すべての完結集大成といえるくらい丸戸さんらしいみんなを幸せにするENDが雪菜Tureです。

雪菜Tureは絶対最後にプレイしてくださいこれは、鉄則です。」
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WHITE ALBUM2 の攻略順番について。(Yahoo!知恵袋)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1486458654

質問者が「気持ちよく終わるため」という条件をつけてるいるため、雪菜Trueを最後に勧めるのは別に異論はないのだが、「核心すべての完結集大成」という表現には違和感を覚える。

結局質問者は「個人的にはかずさを最後にやりたいところですが、物語全体の完成とのことなので雪菜を最後にしたいと思います。」と回答している。上記の表現に引っ張られた感じの回答である。

はっきり宣言しておくが、筆者はかずさTrue派である。
かずさTrueを愛している。何より、かずさTrueでもがき・壊れていく雪菜を愛している。
なので(私情全開なのは承知で)かずさTrueこそが作品の最後を飾るべきシナリオだと考えている。

確かに世の中に雪菜Trueを最後にすべきと主張する人がいてもいい。ハッピーエンドで作品を締めたい人はそれなりにいるだろうし、それは各人の好みだろう。

しかし雪菜Trueこそが作品集大成=グランドエンディングであるという主張には意義を唱えていきたい。それは選択肢を狭める行為であり、実際に上の質問ではその主張に誘導されている感じが否めない。

かずさTrueを最後の物語として触れることは、雪菜Trueを最後にするのとは(多分)まったく違った体験になる。そしてその体験は中々に得がたい物である。

敵を作る言い方だが、雪菜Trueのハッピーエンドは他の作品でも味わえる種別の感動だと思っている。他作品の感想を見ている限り、それこそ他の丸戸先生の作品でも味わえるのではないだろうか。

私は以下の様に思う。
・仮に雪菜Trueが無くても「WHITE ALBUM2」は「WHITE ALBUM2」である。
・かずさTrueを失ったら「WHITE ALBUM2」はもう「WHITE ALBUM2」ではない。

ただ後述するであろうある重大な理由により、かずさTrueにとって雪菜Trueの存在は結構重要である。この一点だけとっても雪菜True→かずさTrueとすべきだと思っている。

まぁ色々書いたが、究極的には「かずさTrueが好きだから、かずさTrueこそグランドエンディングだと思いたいし、みんなにも体験して欲しい」という完全に私情としか言い様がない理由しかないのだが、少しでもそれっぽく見えるように理由をつけてみたいというのがこの記事のコンセプトである。

しかし残念な事に割とここまででボリュームを食ってしまった。普通に疲れた。
次回以降でその詳細に踏み込んでいきたい。(その2へ続く)

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